PMS 
月経前症候群(生理周期とうつ状態)

 月経周期に関連して起こる体調不良と情緒不安定は女性ホルモンのアンバランスとして、従来は婦人科であつかわれてきました。
治療もホルモン療法と対症療法が主でしたが、副作用が強く効果も限定的でした。

しかし、最近になってこの月経前症候群
          PMS premenstural syndrome 
が、
脳内伝達物質の
1つであるセロトニンの機能障害と関連し、
新しいタイプの抗うつ薬であるSSRI(選択性セロトニン再取り込み阻害薬)が非常に有効であることがわかってきました。

 

       月経前症候群の主な症状と診断

 

  精神症状

気分の落ちこみ、絶望感、自己否定的な考え

不安・緊張

気分の不安定さ

怒りっぽさ、いらいら感

心理的葛藤の増大

日常の活動に対する興味の喪失

集中力低下

無気力、疲れやすさ

食欲の変化(特に甘い食物を欲する)

睡眠パターンの変化
何かに圧倒されているような感覚、自分をコントロールできていないような感覚

    身体症状

     乳房の圧痛や腫脹感

腹部膨満感

頭痛

関節痛

筋肉痛

むくみ

体重増加

にきびや吹き出物

便秘

めまい

ほてり

はき気、嘔吐

動悸

骨盤の重い感じや圧迫感

 

・月経前症候群(PMS)では、これらの精神症状、身体症状が
 月経周期の黄体期後半(生理前の
710日)に定期的に出現、
 月経開始後数日以内に消失します。

・このうちで精神症状が顕著で職場や学校、家庭などの日常生活に支障のある重症型を
 月経前不快気分障害 PMDD premenstural dysphoric disorder
といい、
 うつ病性障害に含まれます。

・PMSは月経のある女性の約40%に認められ、そのうち約5%がPMDDと診断されます。

・また診断には、月経周期23周期の主な症状と基礎体温、月経期間との関連をカレンダー化して確認するのが有用です。

 

 治療

 軽症例では、食事療法(カフェイン、アルコール、塩分、糖制限、炭水化物を多く含む食物の摂取)、適度な運動、ビタミン、ミネラルの摂取などによって改善することもあります。

  このような方法で軽快しない場合には薬物療法が必要となります。

 従来婦人科で、経口避妊薬や抗GnRH薬、卵巣切除術などのホルモン療法が行われてきましたが、効果は限定的でした。また対症療法として痛みに鎮痛剤、むくみに利尿剤も行われていました。

  しかし、1990年代後半から新しいタイプの抗うつ薬であるSSRIが非常に有効であることがわかり、欧米では標準的な治療法になりつつあります。

 

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